Do U like BASS? pt.4

hasegawa

「バス釣りのラインなんか、どれを使っても同じやろ…」
そんなふうに考えていた時期が僕にもありました。
ラインとは唯一、自分と魚とを繋ぐもの。
そこを疎かにしていると、大きなバスをキャッチすることは叶いません。
というわけで今回は「どんなラインを使うか」についてお話ししようかと思います。
…ラインの話って、一番大事な気さえしています。

意外に思われるかもしれませんが、快適に釣りを続けていくうえで一番お金がかかるのは、間違いなくラインです。
値段も品質も本当にピンキリ。
60m巻で¥3,600するような高級ラインを使うも良し、500mで¥600の安いものを使うも良しです。
1つだけ言えることがあるとすれば、高級なラインをケチって数ヶ月使うよりも、安いラインを頻繁に巻き替えた方がライントラブルを起こしにくいことは確かです。
(本当は同じラインを数ヶ月使うこと自体、言語道断なのですが…使っちゃうんだよなあぁあぁぁ)

前回はリールの話ついでに、少しだけラインの話をしました。
フィッシングラインの強度は「lb」(ポンド)という単位で表されます。
太さに関しては「◯号」という独特な単位が使われます。
1号の太さをもつラインの強度はおよそ4lb。約1.36kgの直線的な力に耐えることができます。
3号なら12lb。5.44kgの直線強力があります。
記録級のバスの重さが10lb(4.5kg)であることを考えると、バスの重量だけで切ることができるかどうかの基準は3号程度のラインということになりますね。(バス自体の力や障害物との擦れを加味すると、もっと太糸が必要ですが…)

ナイロンライン
フロロカーボンライン
PEライン

あらゆる釣りにおいて、現在主流なのはこの3種類のラインです。
フロロカーボンとナイロンラインは単一の化学繊維で作られた「モノフィラメントライン」と呼ばれるものです。
PEラインは細い糸を撚って編み上げた「ブレイドライン」と呼ばれています。
どちらも一長一短ありますが、モノフィラメントは擦れに強いが飛距離が出にくい。ブレイドラインは擦れに弱いが飛距離が出る。と覚えておいてください。(本当はもっとありますが、とりあえず)
第4の素材としてエステルラインというものもあるのですが…現状は太糸が存在しないのと、バスフィッシングには使われていないため、今回は割愛します。

デメリットを理解した方がわかりやすいため、そちらをベースに説明していきます。

現代的な釣りが確立されて以来、長らく使われているのがナイロンラインです。
基本にして到達点のようなラインなのですが、近年のバスフィッシングではあまり使われていません。
というのも、ナイロンラインは
・水に対しての比重が軽く(1.14)水に沈みにくい
・フロロカーボンに対して伸びが多い
結晶量が少なく感度が良くない
・水を吸収して耐久性が落ちやすい
・擦れに弱い
という特徴があるからです。

特に世の中でソフトルアーの釣りがスタンダードになって以来、ラインの感度でアタリを取るのが釣り方の主流となりました。
ジグやワームのように沈めて使う釣りでは、沈みにくい性質を持つナイロンラインの特性は敬遠されがちです。(そこにメリットもあるのですが後述します)
擦れに弱いというのは一般論で、僕としては「ほんまにそうか?」と懐疑的です。
僕自身はしなやかな材質のナイロンラインが大好きなのですが、釣具屋のバスフィッシングコーナーを覗くと、大半はフロロカーボンラインが棚に飾られています。

現在最も主流なのがフロロカーボンラインです。
水に近い屈折率を持ち、水中でのステルス性能は高いです。
一般的には擦れに強いといわれています。
結晶量はナイロンが30%なのに対してフロロは50%と多く、感度も高いですが…
・ラインが硬く巻きグセがつきやすい
・水に対しての比重が重く(1.8)水に沈みやすい
・伸びが少ない
・結び目が弱い
・傷がつくと一気に切れる
というデメリットがあります。
「ん?」と思われた方、さすがです。
水に沈みやすいことや伸びが少ないことは、デメリットにもなり得るのです。

釣りをしていて一番嫌なことは、根がかりによるルアーのロストです。
お金が勿体ないし、環境にも良くない。
ラインが沈みやすい=根がかりがしやすい。でもあるわけなのです。
比重の軽いラインのほうが快適に釣りができることも多々あるんですね。

伸びが少ないと感度が高まり、ラインを捌くのも快適に行える。これは事実です。
しかし伸びが少ないということはショックを吸収しにくく、アワセ切れなどのライントラブルに見舞われやすい。
ラインが硬く結び目も弱い…ということは、もうおわかりでしょうか?
フロロカーボンはナイロンに比べると、ライントラブルが発生しやすいのです。
特にベイトタックルにバックラッシュはつきもの。
ラインが硬いことによって放出抵抗が高まり、バックラッシュを引き起こしやすいのもフロロカーボンラインです。
実はフロロにもしなやかなものはあるのですが、概ねそういうラインはハイエンド製品で高いです。

そんなこともあって、僕のリールに巻かれているのはナイロン4割・フロロ5割・PE1割です。
「フロロ優勢やん」と思われるかもしれませんが、実はそうでもありません。
スプール全体にフルで巻いているのは、基本的にナイロンのみです。
これからその理由を踏まえて、PEラインを解説していきます。

現在、海の釣りでメインラインとして最も使われているのは、間違いなくPEラインです。
4本・8本・12本撚りなどがあって初心者には「???」だとは思いますが、ひとまず総じてのメリットを挙げていきましょうか。
・ラインがしなやか
・細くても強度が高い
・飛距離が出しやすい
・感度が最も高い(条件あり)
「ええことだらけやん!」と思いますよね?…そうでもないんですよ。

まず、スプールからルアーまでの全て。最初から最後までPEをフル巻きで使う人は滅多にいません。
直線強力が高いPEラインではあるものの…伸びの少なさ故に、突発的な衝撃には極めて弱いです。切れます。
なので、基本的には「ショックリーダー」と呼ばれるラインシステムを組む必要があります。
これはPEの終端部、数メートルをナイロンやフロロラインを結束して使うものです。
結束部は結ぶ必要があります。
しかもそのノットを組むには、数分(ヘタしたら数10分)を要します。
釣り場でショックリーダーが切れた場合は?…もちろん組みなおしです。
これを面倒に思わない人は少ないかと思います。

感度はとても高いです。しかしこれは限定的な条件においてです。
ラインをピンと張っている状態なら、PEラインは最も感度が高いラインといえます。
しかし少しでもテンションが低いと、PEラインの感度は最低になります。
糸電話と原理は同じです。
ナイロンやフロロなどのモノフィラメントであれば、単一の繊維なので多少テンションが低くても振動は伝わります。
PEはしなやかに編み上げられたラインの特性が仇となって、テンションが低いと振動を伝えません。
常に糸を張れるのであればPEで問題ないのですが、糸を張ってると警戒して魚が寄ってこないんですよね…マジで。

そしてラインは確かにしなやかなのですが…これがしなやか過ぎる。
軽くてしなやかだとどうなるか?風の影響を恐ろしいほど受けます。
ナイロンやフロロで釣りができる程度の風でも、PEは風に煽られて釣りにならないことも。
また風に煽られたラインが空中で絡まって「エアノット」という結び目ができるトラブルもPEならではですね。

「ほなPEはあかんのか?」と聞かれると、実はそうでもない。
先ほど、僕のリールの5割にはフロロが巻かれている。と書きました。
でもこれ実は、PE半分・フロロ半分巻いているんです。

例えばベイトリールにフロロをフルラインで100m巻いてしまうと、スプールの重量は劇的に重くなってしまいます。
スプールが重くなるとどうなるか?
・重量増によって飛距離が落ちる
・回転初速のレスポンスが下がり、バックラッシュが頻発する
・レスポンス低下により、近距離のキャスト性能が低下する
・ラインが減った時に全て巻き替えないといけない
など、多くのデメリットが生まれます。
これを回避するために、スプールの半分までは軽量なPEを。
残りの半分はフロロカーボンを巻いているのです。
そうすることで、ナイロンをフルラインで巻いたリールと遜色ないスプール重量&使用感で、フロロカーボンを扱えるようになります。
ノットを組むのは確かに面倒ですが、フロロラインがかなり短くなるまでは組み直す必要がありません。
また、ハーフラインを巻き替えて結び直すだけなので経済的でもあります。
そういった用途で、僕はPEラインを活用しています。

ここでバスフィッシング未経験者にとって、素朴な疑問が生まれるかと思います。
「最初はどのラインを使ったらええの?」
これは、間違いなくナイロンラインをオススメしておきます。

釣りをする上でライントラブルほどストレスになるものはありません。
・トラブルレスである
この1点のメリットに限っても、初心者はナイロンラインを使う意味があると思います。
ナイロンラインは劣化が早いです。少なくとも、月に1度は巻き替えた方が良いですね。
自分でリールにラインを巻いて、道具を管理する。
こういった良い習慣を身につけておけば、釣り場でのライントラブルは未然に防げるかと思います。
そして同じモノフィラメントなら、フロロよりもナイロンラインの方が強度の限界値が高いと感じています。
フロロカーボンは確かに擦れには強いのですが、傷が入るといきなりブチっと切れるんですよね…ナイロンに傷が入ってもいきなり切れたりはしないので、そこも美点であると思います。
ナイロンラインだから感度が悪い。擦れに弱い。釣れなかった。僕がそう感じたことは1度もありません。
初心者には是非、原点的なナイロンラインを使ってバスフィッシングを始めていただきたいです。

一連の記事で、特定の商品に肩入れするようなことは書かないようにしているのですが…今回は最高レベルにオススメできるラインを紹介しておきます。
釣具って消耗品でもほんまに高いんです。
高級フロロラインは60mで実売¥2,500とか、イカれてるイッちゃってますよね笑
でもそんなお金出さなくても、illでいる秘訣知っている良いラインが売ってるんですね〜!
恐らくバスフィッシングでこのラインを使っている人は、世の中に1%もいないと思いますが…
株式会社トアルソン(旧名:東亜ストリング)「レグロン インターナショナル」というナイロンラインです。
ボビンに600m巻(1000m巻も売ってます)で実売¥2,000以下というブッ飛んだ低価格ながら、高級ラインに迫る(というか超えている)しなやかさと直線強力を誇ります。
というか、これほど表面がツルツルに滑らかなナイロンラインは、ここのメーカーだけかも…
テニスラケットのガット製造ではかなり老舗の会社だそうで、その強さに納得。
正直スレには大して強くないですが、ヘタったらジャンジャン巻き替えられるハイコストパフォーマンスが魅力ですね。
めっちゃオススメしておきます。

今回もお約束の番外編です。
皆さんは釣り糸の「色」って気にしていますか?
僕はぼちぼち気にしています。
フロロカーボンラインであればほぼ無色透明しか売られていませんが、ナイロンラインは結構とんでもない色のものが売られています。
同じ無色透明であれば、素材が持つ光の屈折率の関係で、フロロカーボンラインがナイロンよりもステルス性の高い糸ということになります。
PEは…基本的には蛍光色やマルチカラーで透明度のない糸が大半ですね。(PEにショックリーダーが使われる理由の一つでもあるかと)

私感ではありますが、僕はラインの色と釣果は「多少は関係がある」と思っています。
「え、じゃあ透明なラインだけ買お〜」というのは早合点です。
ラインの色は釣果に影響するが、ラインの太さほど影響はしない。というのが、今のところ僕の結論です。
一説によりますが、およそ2.5号(10lb)を境目に、ブラックバスはラインの存在を視覚的に意識しはじめるそうです。
これは僕も実感としてわかります。
僕は普段から5号(20lb)程度のラインをメインに使用していますが、晴天無風のクリアウォーターで5号という太さは、やはり大型のバスに見切られるケースが大半です。
それでも太めの糸を使うのは、食ってくるバス(釣れる可能性のあるバス)の総数を増やすのではなく、食ってきたバスをなるべく確実にキャッチしたいからです。
池の水抜きなど駆除活動が盛んな結果、年々ブラックバスの生息数は減っています。
食ってきたバスの口に、切れたラインとルアーを残して生存確率を減らしたくないので、太めの糸を巻くようにしています。

少し脱線しました。ラインの色の話でしたね笑
クリアウォーターで最もバスが視認しにくいのは、無色透明なフロロカーボンの細糸です。これは本当に水中で目立たない。
しかし既に釣りを始められている方はご存知でしょうが、全く濁りのないクリアウォーターというのは、なかなか稀な状況なのです。
では、少し濁った水やアオコで緑色になった水ではどうでしょうか?そういう水の中ですと、透明のラインは却って目立ちます。
茶色や深緑色のラインを釣り場の状況に合わせて使うのも、また一興。濁れば太い糸も目立ちませんからね。
蛍光色のラインにも意味はあって、釣り人からの視認性が良い。という美点があり、昼夜問わずルアーの位置を把握したり、目で見てアタリを取るのにも役立ちます。

もうひとつ、番外編その2も書いておきましょうか。
PEラインには4本・8本・12本撚りがあると書きました。
その違いなどについて簡単に説明していきましょう。

PEの撚り数が多くなると、基本的に番手(号数)あたりの直線強力(lb)としなやかさが高くなります。
撚り数が多いことのデメリットは勿論あって、擦れに対してはどんどん弱くなります。(1本あたりの撚り糸が細くなるため)
そして撚り数が多くなると製造工程の複雑化により、ラインの価格もめちゃくちゃ高くなります。150mで¥3,000超えとかザラです。買えんて…
PEラインの長期的な耐久性はモノフィラメントラインよりも遥かに高いのですが、あまり価格が高いのは考えものですよね。

近年バスフィッシングでもPEラインがよく使われるようになりました。
強度は勿論、飛距離も稼ぎやすいからです。
そして普及の背景には、高比重PE硬いPEの誕生が大きく関係しています。
PEラインとは「細くて強いけれど扱いにくい」が当たり前でした。
扱いにくさの理由の大半は、比重が軽いことによるトラブルが頻発するからです。
では、PEが重いとどうでしょうか?
強度はそのままに比重が重くなると、細くても強いというメリットが残ります。(ベイトリールのスプールはあまり軽くなりませんが…)
高比重PEのメリットはバスフィッシングとマッチしていると言えるかもしれません。
テクノロジーの進歩により、近年は硬さ(コシ)もこれまでとは比べ物にならないPEラインが誕生し、バスフィッシングでPEラインが使用される場面はさらに増えています。

という番外編の余談ではありましたが、バスフィッシングとテクノロジーとは密接な関係があります。
次回はさらに掘り下げた道具の話。
「ベイトリールはどれにする?」
ベイトリールってテクノロジーの結晶なんですよ笑

ほなまた!

ハセガワ

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